
主な用途
- 微細構造体の無破壊乾燥
- エアロゲル等多孔質膜形成
- 光学部品等の洗浄乾燥(パーティクル除去)
超臨界乾燥とは
微細構造の微細化に伴い、洗浄・リンス後の乾燥でリンス液の表面張力に基づく毛細管力で構造が倒壊する現象か生じます。この問題を解決するための表面張力が作用しないものとして、超臨界流体が知られています。超臨界流体は臨界点を超えた、気体と液体の中間的特性を有したもので、気液平衡曲線を介さずに(気液界面ので表面張力を作用させずに)乾燥させることが出来ます。
超臨界乾燥は二酸化炭素を用いる場合がほとんどですが、使いにくい面もあることから、二酸化炭素を使わない新しい超臨界乾燥を実現しました。
特徴
1.高圧ガスは必要なし
超臨界流体には従来の二酸化炭素(CO2)ではなく、常温常圧で液体の不燃性・低毒性のフッ素系溶剤を使っております。このため、CO2の高圧ボンベは必要ありません。不燃性ですので、引火等の心配もありません。
臨界圧力がCO2に比べて約1/3になるため、大型装置の製作も容易になります。
2.簡単操作
薬液をいれてスタートボタンを押すだけの簡単操作で超臨界状態を作り出すことが出来ます。
3.薬液の性能(洗浄効果等)を最大限に生かす事ができる超臨界処理です。
フッ素系溶剤はアクリル系樹脂を溶解しやすい等の溶解性やパーティクルが再付着しやすい特性をもつものがあります。これらを応用することにより、より有効的な新しい超臨界洗浄が行えます。
4.省スペース設計
研究開発に適したコンパクト設計で、置き場所に困りません。
5.設置に際しては電気工事不要
100Vコンセントがあれば動作可能です。手軽に超臨界流体処理実験が行えます。
超臨界乾燥の効果 パターン倒れや貼り付きの抑制

SOI基板(Si層/SiO2犠牲層/Si基板)を用いて形成した梁構造をつかって、フッ素系超臨界乾燥の効果を実証しました。Si層パターン形成の後、緩衝フッ酸による犠牲層エッチング、洗浄、および乾燥を施す工程により、窒素雰囲気下での乾燥と超臨界乾燥を比較しました。通常の窒素乾燥(左下図)では洗浄水の表面張力*1によりSi層がSi基板に貼り付いてしまいますが、超臨界乾燥(右下図)ではパターンの貼り付きが無く、無破壊乾燥を行えることがわかります。

仕様
型式 | PCS-4SC |
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標準処理圧力 | 2.6MPa |
標準処理温度 | 200℃ |
処理可能試料サイズ | 20mm□ 以下 |
装置外形寸法 | 500W×400D×470H mm |
試料サイズUpなどのご希望により、大型装置の製作も承ります。
*仕様は予告無く変更する場合がございます。予めご了承ください。
カタログダウンロード
小型超臨界乾燥装置 | 766KB | ダウンロード |
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