超高真空中で加熱清浄化することにより、Si(111)表面のステップ構造を制御できることが知られています。その試料を大気中に取り出し、表面を観察すると原子スケール(オングストローム)オーダのステップ構造を安定に測定できます。このことは、超高真空中で原子レベルで清浄な表面が形成されると、大気中で酸化しても単原子ステップを破壊することがないことを意味します。
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右図は約20×20μm領域を観察した結果で、「竹の節」のように見えるのが、ステップ集合帯、その間が原子レベルで平坦なテラスに相当します。テラス上に走る細い線が高さ3.1Åの単原子ステップです。

右図は約450×450nm領域を観察した結果で、階段状に見えるのが高さ3.1Åの単原子ステップです。この表面ではステップが均一に分散するように制御されています。このような構造の試料を標準試料として、AFMの高さ方向の校正をする提案もなされています。
参考文献: J.Vac. Sci. Technol. A14, 1228 (1996)