ビームシェイパの特徴
一般的にビーム形状の変換に使われる透過型のビームシェイパ(Diffractive Optical Element: DOE)では、発熱の影響により高出力レーザへの適用ではその性能を維持することができず、使用範囲が限定されています。NTT-ATの反射型のビームシェイパは、冷却ユニットを使用して素子を直接冷却できるため、10kW超級のハイパワーレーザでも性能を発揮できます。
特に、レーザ加工用途に利用する場合は、トップハット、リング、ラインビーム、またはベッセルビームのような非回折ビームなど、レーザ加工に最適とされる様々なビーム形状を生成することができます。
表面のSEM写真
- ビームシェイパとして機能するDOE基板はSiC, Si, メタル等から選択できます。
- 光利用効率は表面深さの階調に左右されます。現在では64階調まで対応可能です。
- お客様のニーズ(波長、光源M2、入射角、焦点距離、結像パターン)に応じて、ビームシェイパを設計・製作します。
表面階調と光利用効率の関係
表面深さの階調 | 光利用効率 |
---|---|
16 | 93.1 % |
8 | 81.6 % |
4 | 53.2 % |
2 | 30.9 % |
ビームシェイパの適用例
- ハイパワーレーザ加工への適用 ・・・ レーザ加工用反射型ビームシェイパ
- 肉厚な鋼材加工などへの適用 ・・・ 長焦点ビーム形成用反射型ビームシェイパ
- 様々な波面設計例 ・・・ 自由な波面設計が可能な反射型ビームシェイパ
レーザ加工用反射型ビームシェイパ
10kWを超えるハイパワーレーザに対応した、反射型ビームシェイパを作製します。お客様のレーザ仕様(波長、ビーム形状、シングルモード、マルチモード、ビームサイズ等)と、ご希望の出力ビーム形状に合わせてパターンを設計・作製し、提供します。
ご要望により、取り付け治具についても個別対応します。お気軽にご相談ください。
レーザ加工への適用例
レーザによる、「切断(カッティング)」、「穴あけ(ドリリング)」、「溶接(ウェルディング)」、「印字(マーキング)」、「焼鈍(アニーリング)」、「アブレーション」など、幅広い分野に使われています。
長焦点ビーム形成用反射型ビームシェイパ
NTT-ATの反射型ビームシェイパは、自由な波面設計が可能です。結像レンズを必要としない自由な光学設計が可能で、ベッセルビームやラゲールガウスビームなどの非回折ビームの生成が可能です。
次の図は、ベッセルビームの実施例です。350mm を焦点とするベッセルビームを生成し、±100mm以上の焦点深度を持たせました。
大気擾乱下においても、ピーク強度変化を極めて小さくすることができます。
自由な波面設計が可能な反射型ビームシェイパ
NTT-ATの反射型ビームシェイパは、自由な波面設計が可能です。結像レンズを必要としない自由な光学設計が可能で、任意のビーム形状を生成することができます。
例えば、光ファイバからの拡散光(5mmφのガウスビーム)をDOEに入力し、350mm先に土星(リングと中央輝点)、細長い長方形、マルチビームなどを生成しました (下記は、実際に結像させた時の写真です。)
お客様のご要望に合わせたビームパターンを設計し、ビームシェイパを製造します。
仕様例
下記の仕様は一例です。これ以外のビームパターン、光学設計、波長などについても承りますので、ご相談ください。項目 | 仕様(一例) |
---|---|
ビーム形状変換 | ガウシアン→ 四角(トップハット) |
レーザ波長 | 1064nm |
レーザパワー | ~10kW※ |
入射ビーム径 | 30mmφ |
レーザ入射角 | 45° |
冷却容量(100mm角) | 300W |
形状 | 40 mm x 40 mm x 0.5 mm |
材質 | Si、SiC |
集光効率 |
レンズ無し:70% レンズ有り:95%以上 |
※ 10kWを超えるレーザパワーについては、別途ご相談ください。
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